終身雇用を前提としたキャリア形成が当たり前ではなくなった今、働き方に対する考え方も多様化しつつあります。世代や所属する企業によって、ビジネスパーソンはどのようなキャリアビジョンを描いているのでしょうか。
そこで、ベンチャー・中小企業向けのHR総合支援サービスを行うProfessional Studio株式会社( https://professional-studio.co.jp/ )(本社:東京都中央区、代表:市川龍太郎)は、年代や所属企業によるキャリア観の違いを明らかにするため、主要都府県に在住する20歳~59歳の正社員5,694名を対象に調査を実施しました。
本調査の結果、Z世代においては従来の「組織への定着」や「雇用の安定」を重視する割合が低く、特にベンチャー企業を選ぶ層ほど、組織に依存せず自律的なキャリアを志向する傾向が見られました。
【本調査における主な結果】
・Z世代の「1社定着」意向は38.1%、50代と11.8ポイントの差
・「収入」「雇用」の安定重視派、Z世代は50代よりそれぞれ10ポイント以上低い
・ベンチャー若手の約半数が「副業・独立」志向、伝統的な日系上場企業の約1.9倍
※調査方法や対象者などの詳細については、後述の「調査の実施概要」をご覧ください。
主な調査結果
1.Z世代の「1社定着」意向は38.1%にとどまる、50代とは11.8ポイントの差
年代によって、ビジネスパーソンの理想のキャリア像にはどのような違いがあるのでしょうか。まず、将来的に1つの会社にとどまり続けることを希望する人の割合を、年代別に集計しました。

「1つの企業で定年まで働きたい」と「同じ会社で長く働きつつ、管理職・役員を目指したい」を合計した1社定着意向は、50代の49.9%に対し、Z世代(20代)は38.1%でした。世代間で11.8ポイントの開きがあり、若い世代ほど1つの組織にとどまる意向が低い結果となりました。
また、その内訳においても、「管理職・役員を目指したい」の割合はZ世代が14.9%となり、50代(8.7%)を上回りました。定着意向を持つ層の中でも、若い世代ほど長期的な安定よりも、昇進やポジション獲得といった上昇志向が強いことがうかがえます。
2.仕事における「安定」の優先度はZ世代で低下、「収入」「雇用」ともに50代との差は10ポイント以上
1つの会社にとどまる意向が低いZ世代ですが、仕事に対してどのような価値観を持っているのでしょうか。働く上で重視する要素に関する質問(最大3つ選択)で、収入および雇用の安定を選択した人の割合を、年代別に集計しました。

「収入の安定性(給与・賞与の変動が少ない)」を重視すると回答した割合は、50代の43.9%に対し、Z世代は32.9%でした。また、「雇用の安定性(定年まで働ける・リストラがない)」についても、50代の27.3%に対し、Z世代は14.3%にとどまっています。いずれの項目においても、Z世代は50代と比較して10ポイント以上低く、世代間で明確な差が開く結果となりました。
Z世代は「安定志向」と言われることもありますが、本調査において「守りの安定」を優先する層は、上の世代よりも少なくなっています。終身雇用制度が当たり前ではなくなった現代において、Z世代にとっては、会社に依存することだけが必ずしも「安定」ではなくなりつつあるのかもしれません。
【参考データ】年代別の就業先企業タイプ
仕事選びの価値観において変化が見られるZ世代ですが、実際の就業先はどうなっているのでしょうか。以下のグラフは、本調査の回答者が所属する企業タイプ(目安は以下)の年代別内訳です。
・ベンチャー企業:メガベンチャーやスタートアップなどの成長企業
・伝統的な日系上場企業:歴史ある日系大手や、中堅規模の上場企業
・外資系企業:海外に本社がある、または外資資本の企業
・中小企業、その他:上記に当てはまらない一般的な中小企業

「ベンチャー企業」はZ世代が5.0%、30代が5.0%、40代が2.8%、50代が1.7%となっており、若い世代を中心に人材流入が進んでいるといえそうです。ただし、Z世代の過半数は「伝統的な日系上場企業」に所属しており、若手層においてベンチャーという選択肢が広がりつつあるものの、全体から見ると依然として少数派であることがわかります。
3.ベンチャー若手は仕事の「やりがい」「社会貢献」を重視する傾向
Z世代の中でも少数派であるベンチャー企業を選んだ人たちは、どのような動機でその環境を選んでいるのでしょうか。Z世代の回答者を現在の勤務先タイプ別に分類し、働く上で重視する要素(最大3つ選択)の違いを分析しました。

「仕事のやりがい・充実感」を重視すると回答した割合は、ベンチャー企業社員が29.9%となり、伝統的な日系上場企業社員(25.9%)や外資系企業社員(24.6%)を上回り、最も高い結果となりました。また、「社会貢献度」についても、ベンチャー企業社員は14.1%と、伝統的な日系上場企業(6.4%)の2倍以上の数値を示しています。なお、「高い年収」については、外資系企業社員が49.6%と突出して高い結果となっています。
同じZ世代であっても、身を置く環境によって仕事への向き合い方は異なります。多くのZ世代が所属する伝統的な企業と比較しても、ベンチャー企業を選ぶ社員は、金銭的な条件以上に、仕事そのものの意義や手応えを優先する傾向が強いことがうかがえます。
4.ベンチャー若手の49.1%が「副業・フリーランス」「独立・起業」を志向、伝統的な日系上場企業の1.9倍に
仕事の意義や手応えを重視するベンチャー企業社員は、その先にどのようなキャリアビジョンを描いているのでしょうか。理想のキャリア像に関する質問への回答を企業タイプ別に集計し、将来に対する意向の違いを比較しました。

「会社員として働きつつ、副業・フリーランスでも稼ぎたい」と「将来は独立・起業したい」を合計した「独立・副業志向」を持つ人の割合は、ベンチャー企業社員では49.1%に達しました。これは、伝統的な日系上場企業社員(26.2%)の約1.9倍にあたり、両者の間には大きな意識の差が見られます。
ベンチャー企業を選ぶZ世代の約半数は、必ずしも組織内での出世だけをゴールにはしていないようです。副業を通じて個人の力を試すことや、将来的に組織を離れて独立することを視野に入れており、会社に依存せず、自律的なキャリアを歩もうとする意欲の高さがうかがえます。
まとめ:「会社任せ」の安心から、「自ら選ぶ」確かなキャリアへ
今回の調査からは、若い世代を中心に「組織への定着」や「雇用の安定」を最優先とする価値観が変化しつつある傾向が見られました。中でも、あえてベンチャー企業という環境を選ぶ層においては、やりがいを追求しながら独立・副業をも視野に入れるなど、組織に依存せず、自身のスキルと経験で道を切り拓こうとする自律的な価値観が読み取れます。
終身雇用を前提としたキャリア形成が当たり前ではなくなる中、これからの時代は、企業の規模や知名度だけでなく、個人の志向と成長環境がマッチしているかがより重要になってくるでしょう。自身のビジョンに合わせて主体的に働く環境を選ぶことこそが、変化の激しい現代において、納得感のあるキャリアを築くための鍵といえそうです。
調査の実施概要
調査機関 :自社調査
調査方法 :インターネット調査(株式会社ジャストシステム「Fastask」)
対象エリア:主要都府県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県)
対象者 :20歳~59歳の正社員
調査期間 :2025年12月4日~11日
有効回答 :5,694名
※本調査では、総務省「労働力調査(詳細集計)」2024年平均における「正規の職員・従業員」の性年代別構成比に基づいて、ウェイトバック集計を行っています。

