近年、大企業からスタートアップへの転職が増加するなど、キャリアの選択肢としてベンチャー企業への注目が高まっています。多くの人材を惹きつける背景には、どのような働き方の実態があるのでしょうか。
そこで、ベンチャー・中小企業向けのHR総合支援サービスを行うProfessional Studio株式会社( https://professional-studio.co.jp/ )(本社:東京都中央区、代表:市川龍太郎)は、ベンチャー企業における働き方と仕事の満足度との関係性を明らかにするため、主要都府県に在住するベンチャー企業の正社員173名を対象に調査を実施しました。
本調査の結果、多くのベンチャー社員がプライベートと仕事を両立させており、特に「自分の裁量」で働ける環境が、高い満足度やモチベーションに繋がっている傾向が見られました。
【本調査における主な結果】
・約7割が「プライベートを確保できている」「やりがい・満足感がある」と回答
・自分の立場を踏まえて「裁量が広い」を感じる人が約7割
・「裁量が広い」と感じる社員の約9割が「やりがい・満足感」を実感
※調査方法や対象者などの詳細については、後述の「調査の実施概要」をご覧ください。
主な調査結果
1.ベンチャー社員の71.1%が「プライベートの時間を確保できている」と回答
まずは、ベンチャー企業で働く正社員の、現在のワークライフバランス(仕事とプライベートの時間のバランス)に関する実感を見ていきます。

「十分に確保できている(37.5%)」と「ある程度は確保できている(33.6%)」を合わせると、71.1%がプライベートの時間を確保できていると回答しました。一方で、「プライベートの時間があまり取れていない(11.9%)」「ほとんど取れていない(10.2%)」の合計は22.1%、「仕事が楽しく、プライベートは特に気にしていない」という層は4.5%となっています。
ワークライフバランスの状況として、ポジティブな実感がネガティブな実感を大きく上回っていることを示す結果です。仕事と私生活の境界をあえて設けないようなスタイルも少数派で、現在のベンチャー企業において、業務以外の時間も大切にする働き方が広がっている様子がうかがえます。
【参考データ】日系大手企業社員との「ワークライフバランス実感」比較
一般的な大企業との位置づけを比較するため、日系大手企業社員のワークライフバランスの実感を調査した別データ(同一設問)を紹介します。

プライベートの時間を「確保できている(十分に/ある程度)」割合は、日系大手企業の69.0%に対し、ベンチャー企業は71.1%と上回る結果となりました。内訳を見ても、「十分に確保できている」層はベンチャー企業の方が6.0ポイント高く、大企業と比較しても同等以上の水準にあるといえそうです。
2.仕事に「やりがい・満足感」を感じる人も69.9%、WLB同様に高水準
次に、現在の仕事内容や働き方に対する「やりがい・満足感」の実感について質問した結果です。

「非常に感じている(16.2%)」と「やや感じている(53.7%)」を合わせると、69.9%が現在の仕事にやりがいや満足を感じていると回答しました。一方で、「あまり感じていない(19.3%)」と「全く感じていない(9.2%)」の合計は28.5%にとどまっています。
約7割のベンチャー社員が仕事に手応えを感じており、前項で確認した「プライベートの確保」と同様に高い水準にあることがわかります。ワークライフバランスを保ちながら、同時に仕事そのものにも前向きに取り組めている様子がうかがえます。
【参考データ】日系大手企業との「仕事のやりがい・満足感」比較
仕事のやりがいについても、大企業社員を対象とした別データ(同一設問)と比較します。

やりがい・満足感を「感じている(非常に/やや)」割合は、大企業の56.0%に対し、ベンチャー企業は69.9%となりました。大企業と比べても、ベンチャー企業で働く社員の方が、仕事に対して前向きな実感を持つ人の割合が高いことがわかります。
3.自身の立場を踏まえて「裁量の幅が広い」と感じる人が67.4%
これまでに確認した高い満足度やワークライフバランスの背景には、どのような業務環境があるのでしょうか。続いて、自身の役職や立場を踏まえて、どの程度「自分の裁量」で業務を進められているか質問しました。

「とても裁量の幅が広い(14.5%)」と「まあまあ裁量の幅が広い(52.9%)」を合わせると、67.4%が自分の裁量で業務を進められていると感じていました。一方で、「やや裁量の幅が狭い(18.6%)」「とても裁量の幅が狭い(9.7%)」と回答した人の合計は、28.3%という結果です。
裁量が広いと感じている層が多く、ベンチャー企業において多くの社員が一定の裁量を持って業務にあたっている姿が見えてきます。こうした裁量の高さが、仕事のやりがいや満足度に繋がっている側面があるのかもしれません。
4.裁量が「とても広い」層の91.2%が「やりがい・満足感」を実感、裁量幅で満足度が大きく変化
前項で見た「裁量の有無」は、実際に仕事のやりがいや満足度にどの程度関連しているのでしょうか。自身が感じている裁量の広さによって、仕事に対する満足度がどのように変化するのかを分析しました。

「とても裁量の幅が広い」と回答した層では、「非常に感じている(52.9%)」と「やや感じている(38.3%)」の合計が91.2%に達しました。「まあまあ裁量の幅が広い」層でも、合計で86.3%が高い満足度を示しています。一方で、「とても裁量の幅が狭い」層における満足度は19.5%にとどまりました。
裁量の幅が広いと感じている層では、その大半が仕事へのやりがいを実感していることがわかります。なかでも「とても広い」と感じている層においては、過半数が「非常に」満足していると回答しており、業務における自己決定権の大きさが、ベンチャー企業で働く社員のモチベーションや熱量の高さに結びついている様子がうかがえます。
5.満足の理由トップは「仕事内容が面白い(33.9%)」、「裁量がある(32.6%)」が僅差で続く
最後に、ベンチャー企業で働く正社員が、具体的にどのような点に満足を感じているのかを見ていきます。以下は、仕事のやりがい・満足感を「非常に感じている」「やや感じている」と回答した人を対象に、その理由を質問した結果をまとめたグラフです。

「仕事内容が面白く、好きである(33.9%)」が最も多く、次いで「裁量権があり、自分の判断で進められる(32.6%)」、「人間関係が良く、相談しやすい雰囲気がある(29.9%)」が続きました。一方で、「給与・年収に満足している」は21.5%、「自社株やストックオプションによる資産形成・リターンが期待できる」は9.6%となっています。
満足の理由として、金銭的な報酬よりも、仕事そのものの面白さや裁量の大きさといった「仕事の中身」が重視されていることがわかります。また、人間関係の良さも上位に挙げられており、報酬などの条件面以上に、業務の内容や働く仲間といったソフト面の環境が、高い満足度を支えているといえそうです。
まとめ:「働きやすさ」と「働きがい」が共存するベンチャー・ワークスタイル
今回の調査からは、多くのベンチャー社員がプライベートの時間と仕事への満足感を両立させている姿が見えてきました。「仕事かプライベートか」の二者択一ではなく、裁量を持って主体的に業務に取り組めることが、働きやすく、働きがいのあるワークスタイルに結びついている様子がうかがえます。
特に印象的なのは、満足度を支えているのが、主に「仕事の面白さ」や「裁量の大きさ」である点です。給与などの条件面以上に、自分の判断で仕事を進められる環境や、信頼できる仲間との関係性が、日々のモチベーションやポジティブな就業環境につながっていると考えられます。
調査の実施概要
調査機関 :自社調査
調査方法 :インターネット調査(株式会社ジャストシステム「Fastask」)
対象エリア:主要都府県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県)
対象者 :20歳~59歳のベンチャー企業の正社員
調査期間 :2025年12月12日~19日
有効回答 :173名
※本リリースでは、労働力調査および事前スクリーニング結果から推計した「ベンチャー企業の正社員」の性年代別構成比に合わせて、ウェイトバック集計を行っています。

