はじめてのスタートアップ転職の教科書【失敗の原因を学んで回避】

転職活動でよくある失敗や見落としがちな落とし穴は?という解説に加えてProfessional Studioが考える、転職活動で失敗をしないための正しい進め方、抑えておくべき情報をお伝えします。

スタートアップ企業の定義や転職するメリット・デメリットを知りたい方は下記の記事をご覧ください。

関連記事:スタートアップに転職するメリット・デメリットは?やりがいとリスクを把握して転職を成功させよう

目次

スタートアップ転職で失敗する原因とは?

スタートアップ転職する理由/動機づけができていない

スタートアップ転職の目的が自分の中で明確に定まっていないと、転職後に入社前イメージとのギャップに苦しんだり、早期離職につながったりすることがあります。まずは「動機を固め」、そして「動機を高める」ことが重要です。

動機を固める

自分の中で転職する動機が腹落ちていないと、企業選定が進まず、確信をもって最後の意思決定をすることができません。

動機を高める

動機が弱い状態で意思決定しても、転職後に納得度が下がってしまうケースが多々あります。

企業や業界についてリアルな一次情報を得られていない

業界知識がない場合、企業や業界の正しい情報を入社前に得られず、自身の希望が満たされない企業に入社してしまうケースも多くあります。サイト等の公開情報だけをうのみにせず、業界のプロに話を聞くことが重要です。

サイト等の公開情報だけで決めない

求人や企業のコーポレートサイトだけでは、中身のリアルな情報は見えてきません。IPOしていないスタートアップはIR情報がないので、サイト上はメンバーの仲が良く見えたが実際は離職率が高かった、黒字経営と聞いていたが実際は単月黒字を1度出しただけだったといったケースもあります。

業界のプロに話を聞く

業界に詳しい人の話を聞かず転職活動を進めても、精度の高い生の情報を得られないケースも多いです。間違ったインプットをもとに転職活動を進めて失敗しないためにも、実際にスタートアップで働いたことのある業界のプロに話を聞くことが重要です。

スタートアップの現実と自己認知/自己評価のギャップが大きい

スタートアップ業界には、一般的なイメージとは異なる実情が多々あります。特にマネージャー以上は「高い専門性」と「泥臭く手を動かすスタンス」を求められるので、スタートアップの現実を知っておかないと、入社後のギャップから早期離職につながってしまうことも多いです。

スタートアップ=泥臭い

スタートアップでの仕事はCXOクラスも含め、一般のイメージよりも”泥臭い”です。CXOクラスでも基本的にマネジメントだけしている人は存在しません。

自己評価と企業からの評価のギャップを認識する

求められるのはスタンスと専門性。コンサル、商社等の有名企業出身者でも専門性の不足等を理由に高い評価とならないケースも多くあります。

スタートアップ転職の正しい進め方

はじめに、スタートアップ転職を成功させるための3つのポイント

1.業界の “リアルな”一次情報を仕入れる

業界や企業のリアルな情報を仕入れることが、転職の精度に繋がります。

2.エージェントは、”業界に精通している”人を選ぶ

業界のことを知らないエージェントからは、正しい業界情報を得ることができません。業界に精通していないエージェントもいるため職歴をチェックしてから相談するとよいでしょう。

3.スタートアップに挑戦する理由を明確にする

スタートアップへの挑戦には一定の覚悟が必要になるため、はっきりとした動機づけが重要になります。

キャリアゴールを設計する

転職活動開始から入社までの流れは大まかに

  1. キャリアゴールを描く
  2. 自身のメタ認知
  3. 情報収集・企業選定
  4. 転職手段の選定
  5. 選考
  6. 内定承諾・入社

上記のようなプロセスをたどります。まず自身のキャリアゴールを描くところから、転職活動を始めるべきです。

最初のステップでは自分が、キャリアを通してどんなゴールを得たいのか、知ることが重要です。自分自身の人生をデザインする、「ロールモデルに近い人から話を聞く」などを通して、自分のキャリアのロードマップをできるだけクリアに描くことが最初のステップになります

キャリアゴールを設定しないまま転職すると……

ゴールを決めないままの転職活動では、意思決定ができません。明確なキャリアゴールが無いまま闇雲に情報収集や面接を行うと、決定軸がないため候補者/企業共に決めきれず結果マッチングしなくなります。また仮に転職したとしても入社後に違和感を感じる結果になってしまい、納得度の高い転職にはなりません。

業界/個社のリアルな情報を収集する

転職するスタートアップ業界の、”リアルな中の情報”を収集することが重要です。web上の公開情報には限界があるため、業界全体に精通している人に当たりをつけて話を聞きに行くのがおすすめです。

リアルな情報ソースを持たないと……

業界の本質的な情報を知らずに転職活動を進めてしまうと、「聞こえのいい話」に惑わされてしまいます。webの情報(採用したい)エージェントの話(転職させたい)にはそれぞれ狙いがあり、web上の情報や(業界に詳しくはない)エージェントの話を真に受けてしまうと、納得度の低い転職活動になってしまいます。

スタートアップを見極める4つの軸

1.市場性

  • マーケットが大きい(パイの取り合いにならない)or伸びている
  • テクノロジー等によりできた新興市場を対象としている

2.事業性

  • 足元の売上/事業KPIが伸びている
  • 儲かるビジネスモデルになっている

3.カルチャーフィット

  • 代表、経営陣、上司、メンバーの人柄に好感が持てる
  • 組織のカルチャー/仕事の進め方が自身にマッチする

4.ポジション/自身のスキルフィット

  • 自身のスキルが活きるポジションが空いている
  • 既存メンバーと上手く補完関係が築ける組み合わせになっている。強みやできることの被りが少ない

面接で必ず聞いておくべき7つの質問

  1. 創業の背景、立ち向かっている課題
  2. 市場環境はどうなっているのか?
  3. 競合はどこで、勝ち筋や差別化ポイントはどの辺りなのか?
  4. 経営陣を中心とした企業カルチャーはどんなカラーなのか?
  5. 事業PLやCFはどうなっているのか?
  6. 出口戦略(どの時間軸でどの程度の事業規模を目指しているのか?IPO目標時期は?)
  7. 入社後、誰とどのような役割分担で働くのか?自身の強み/経験が活きそうか?

スタートアップの年収レンジイメージ

スタートアップの年収水準は資金調達環境の良化により、日系大手に見劣りしない水準まで上昇しています。ストックオプションで大きな金銭リターンを狙うには早期参画が必要です。

企業フェーズ Seed/Early(シード・アーリー) Middle(シリーズA) Later(シリーズB以降) Mothers
経営層 700〜1,200万円(0.5〜2.0%) 900〜1,300万円(0.5〜1.0%) 1000〜1,500万円(0.1〜0.5%) 1,200〜3,000万円
マネージャー 600〜800万円(0.05〜0.3%) 600〜1,000万円(0.05〜0.2%) 700〜1,200万円(0.01〜0.1%) 〜1,500万円
メンバー 〜500万円(0.05〜0.3%) 〜600万円(0.05〜0.2%) 〜700万円(0.01〜0.1%) 〜700万円

できればメンターとともに振り返って意思決定をする

最後のステップが意思決定。最初に定めた自分のゴールに近づく意思決定になっているか、しっかり振り返る事が重要になってきます。

転職活動の最初のステップでゴールを定めていたとしても、最後の意思決定で悩むことがあります。そのときにしっかり悩みを相談できるメンターを用意しておくことが大切です。最終的な決定は自分で判断するよりアドバイザー視点の意見を取り入れたほうが理想の転職先とマッチングできるでしょう。

出身業界別のキャリアパターン

スタートアップから見た戦略コンサル人材

評価されるポイント

  • 学習能力/事務処理能力の高さ
  • 大手企業向けの顧客折衝力
  • 現状把握/課題整理/構造化力
  • ハードワーク耐性

NG理由として多いパターン

  • 事業 (稼ぐこと/経営)への理解が薄い
  • 専門性の不足
  • 評論的/メタ認知のズレ(コンサルとスタートアップの戦略は求められる粒度が全く違う等)
  • 年収/肩書へのこだわり

活躍可能性の高いポジションイメージ

  • 事業開発
    • プロダクト/販売体制が整っていない中でセールス/マーケ/プロダクトを横断し、設計/儲かる仕組みを作っていく職種
  • 経営企画
    • 経営戦略策定〜予算策定〜予実管理
    • 全社課題の解決(アライアンス/資金調達等)
  • CFO
    • 主なミッションは資本政策〜資金調達
    • 管理業務(財務経理等)を担うケースも
  • VC/アクセラレーター
    • ソーシング〜DD〜投資実行〜支援
    • 大企業とスタートアップのコラボ促進

スタートアップから見た投資銀行/金融系の人材

評価されるポイント

  • 資金調達、IPO、IR、M&A等に関する専門知識
    • 直近は海外投資家対応ニーズが高い
  • 数値分析/リサーチ力
  • プロフェッショナリズム
  • ハードワーク耐性

NG理由として多いパターン

  • 評論家スタンスが強い
  • 年収/肩書へのこだわりの強さ

活躍可能性の高いポジションイメージ

  • CFO
    • 資本政策策定
    • 資金調達
    • (ミドルステージくらいまでは)管理部門管掌
  • 経営企画
    • 経営計画策定/IR
    • 予実管理
    • 全社課題の解決(アライアンス等)
  • VC
    • ソーシング〜DD〜投資実行〜支援

スタートアップから見た監査法人の人材

評価されるポイント

  • 財務会計、IPO準備、M&Aに関する知見
  • プロフェッショナリズム
  • ハードワーク耐性

NG理由として多いパターン

  • 保守的/受け身なスタンス
  • 実務経験不足

活躍可能性の高いポジションイメージ

  • CFO(管理部長)
    • 財務経理
    • 内部統制/IPO準備
    • 管理部門管掌
  • 経営企画
    • 経営計画策定/IR
    • 予実管理
    • 全社課題の解決(アライアンス等)
  • VC/PEファンド
    • ソーシング〜DD〜投資実行〜支援

スタートアップから見た総合商社の人材

評価されるポイント

  • 顧客折衝力の高さ
  • 財務の基礎知識
  • ハードワーク耐性/泥臭さ
  • ポテンシャルの高さ

NG理由として多いパターン

  • 専門性の不足
  • メタ認知のズレ(商社とスタートアップの事業開発は別競技)
  • 年収面のミスマッチ

活躍可能性の高いポジションイメージ

  • 事業開発(セールス寄り)
    • ソリューションセールス
    • アライアンス
  • 海外向け事業開発
    • 海外現地での販路開拓
    • パートナー探し
  • 経営企画
    • 経営計画策定/IR
    • 予実管理
    • 全社課題の解決(アライアンス等)
  • CFO
    • 主なミッションは資本政策〜資金調達
    • 管理業務(財務経理等)を担うケースも

業界別のトレンド・注目企業

FINTECH業界のトレンド/注目企業

FINTECHはFinanceとTechnologyを組み合わせた造語で、従来の金融サービスと技術を組み合わせた領域です。大型調達/Exit事例が出て来ています。

トレンド/注目企業の例

  • 重厚長大な金融システム(SIer)のDX
    • Route06
    • Finatext
    • Money Forward X
  • SMBの資金調達手段の拡充
    • OLTA
    • UPSIDER
    • Yup
  • 業務DX
    • freee
    • Money Forward
    • Layer X
  • Wallet/Neo bank/資産運用
    • ウェルスナビ
    • kyash
    • Crezit
    • スマートバンク

EC/物流業界のトレンド/注目企業

コロナ禍によりEC化が急激に加速し、伸びている企業が多いです。物流は人手不足を背景にDX化の機運が高まっています。

トレンド/注目企業の例

  • D2C
    • ベースフード
    • バイオフィリア
    • MiL
  • 在庫管理
    • ロジレス
    • オープンロジ
    • ロジクラ
  • 物流DX
    • hacobu
    • オプティマインド
    • CB Cloud
  • OMO
    • 10X
    • フェズ
    • ランチェスター

建築業界のトレンド/注目企業

「高齢化」「人材不足」「重労働」といった課題を背景にDX化の機運が高まっています。また「現場業務効率化」と「機材調達」の大きな市場で事業機会が拡大しています。

トレンド/注目企業の例

  • 工程管理
    • スパイダープラス
    • アンドパッド
    • アルダグラム
  • 機材調達
    • ソラビト
    • アウンワークス
  • 人手不足
    • 助太刀
    • ユニオンテック
  • 省人化
    • CLUE
    • センシンロボティクス
    • テラドローン

ヘルスケア業界のトレンド/注目企業

人手不足を背景にDX/業務効率化ニーズが勃興。国の後押しによってビッグデータの活用も促進されています。

トレンド/注目企業の例

  • 診療形態の変化
    • Ubie
    • メドレー
    • マイシン
    • ファストドクター
  • レセプトデータ活用
    • JMDC
    • Welby
    • Cure App
  • 現場の業務効率化
    • Henry
    • メダップ
    • Dr.Joy
  • 医療周辺領域のDX
    • カケハシ
    • YOJOテクノロジーズ
    • フラジェリン
    • TENET

スペーステック業界のトレンド/注目企業

資金調達環境の良好化に伴い、新規参入が増加。官から民へ、商用化が促進されるとともに、小型化によるコスト削減も進んでいます。

トレンド/注目企業の例

  • ロケット
    • Space X
    • インターステラテクノロジーズ
    • ispace
  • 衛星活用
    • アクセルスペース
    • アークエッジスペース
    • Synspective
  • 周辺サービス
    • アストロスケール
    • ウミトロン
    • Space BD
    • Pale blue
  • 民間向けビジネス
    • Air X

製造業界のトレンド/注目企業

人手不足を背景にDX/業務効率化ニーズが勃興。IoT/ロボティクス/データの活用促進によるイノベーション「インダストリー4.0」の変化の波が起こっています。

トレンド/注目企業の例

  • 業務効率化
    • カミナシ
    • アペルザ
    • Cayzen
  • 現場育成
    • Skillnote
    • RE’FLEKT
  • 調達/受発注最適化
    • A1A
    • Caddi
    • ファクトリーエージェント
  • IoT/ロボティクス
    • Sight Machine
    • Fetch Robotics
    • ラピュタロボティクス

セールスTech業界のトレンド/注目企業

人手不足とコロナ禍による働き方の変化を背景とした営業手法の変化。CRM/データ活用が進んでいます。

トレンド/注目企業の例

  • MA/CRMツール
    • Plaid
    • データX
    • WACUL
  • オンライン商談
    • zoom
    • ベルフェイス
    • whereby
  • セールスイネーブルメント
    • ナレッジワーク
    • Magic moment
    • Revcom
    • Sales Marker

HR Tech業界のトレンド/注目企業

サービス乱立・機能分化を背景として機能統合の流れが加速。またAIの急速な進歩に伴って、AIを活用したHR Techも台頭しています。

トレンド/注目企業の例

  • 業務効率化
    • Smart HR
    • HERP
    • iCare
    • Kitera
  • 採用手法の多様化
    • ビズリーチ
    • Findy
    • Youtrust
    • Meety
  • 人事データ活用
    • カオナビ
    • HR Brain
    • panalyt
    • リーディングマーク

スタートアップスタジオ/インキュベーション業界のトレンド/注目企業

スタートアップスタジオとは

  • 米国でスタンダードになりつつある、新規事業を同時多発的かつ連続して創出することを目的とした組織
  • スタートアップを生み出す上で必要となるファンクション(事業アイデア・経営者人材・資金・UX・UIデザイン・実装・マーケティング等)を、起業家やスタートアップにトータルで提供できることが特徴

トレンド/注目企業の例

  • スタートアップスタジオ
    • XTech
    • newn
    • リープラ
    • デライトベンチャーズ
  • 大企業とスタートアップの連携
    • サムライインキュベート
    • Plug & Play
    • Creww
    • ゼロワンブースター
  • 開発支援
    • Sun Asterisk
    • グッドパッチ
    • Relic

はじめてのスタートアップの教科書まとめ

過去に類を見ない資金調達の活況により、スタートアップに挑戦するリスクは限りなく低い時代になりました。

ビジネスマンは年齢差はあるものの、以下の順番にモチベーションが変化していくそうです。

– Money(稼ぎ)
– Medal(肩書/実績)
– Mission(夢中になること)
– Message(生きた証)

Mission、Messageのフェーズに来たと感じる方、仕組みを変え、世の中を変えていくスタートアップにぜひ挑戦してみてください。

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