近年、メタバース関連のスタートアップ企業が急増しています。
AppleやMetaなど大手テクノロジー企業が次々と本格参入を発表し、VR機器やNFT技術の普及・実用化が進んでいるためです。
仮想空間でのコミュニケーションやイベント開催、デジタル資産の売買など、新たなビジネスチャンスが広がる中、メタバース事業の内容や注目企業について詳しく解説します。
メタバース事業を行うスタートアップ・ベンチャーが注目される理由
近年、メタバース関連のスタートアップやベンチャー企業が注目を集めています。具体的には、下記のような理由から注目を集めています。
- AppleやMeta社の本格参入
- 市場規模と成長性
- VR機器の普及
- オンラインコミュニケーションの頻度の増加
- NFTをはじめとする関連技術の実用化
ここでは、各理由について解説します。
AppleやMeta社の本格参入
メタバース事業への大手企業の参入は、業界全体に大きな影響を与えています。特にAppleやMetaは、メタバースの未来を見据えた戦略を打ち出しており、その動向が注目されています。
Appleは自社のVR/ARデバイスの開発を進め、ユーザーが仮想空間での体験をより身近に感じられるような技術革新を目指しています。一方、Metaは「Horizon Worlds」などのプラットフォームを通じて、ユーザー同士の交流やコンテンツの創造を促進しています。
これらの企業の参入は、メタバース市場の信頼性を高め、他のスタートアップ企業にとっても新たなビジネスチャンスを生み出す要因となっています。
市場規模と成長性
メタバース市場は急速に拡大しており、その成長性は多くの専門家によって注目されています。
2022年には約500億ドルの市場規模とされていますが、2030年にはその規模が5,000億ドルを超えるとの予測もあります。この成長の背景には、テクノロジーの進化やユーザーのニーズの変化が大きく影響しています。
特に、若年層を中心にデジタル空間での活動が増加しており、ゲームやソーシャルメディアを通じてメタバースへの関心が高まっています。また、企業も新たなマーケティング手法としてメタバースを活用し始めており、ビジネスチャンスが広がっています。
VR機器の普及
近年、VR機器の普及が加速しています。これにより、メタバースの体験がより身近なものとなり、多くのユーザーが仮想空間にアクセスしやすくなっています。
特に、手頃な価格で高性能なVRヘッドセットが市場に登場したことで、個人ユーザーだけでなく、企業や教育機関でも導入が進んでいます。
また、VR機器の進化に伴い、よりリアルな体験が可能になり、ゲームやエンターテインメントだけでなく、ビジネスや教育の分野でも活用が広がっています。
オンラインコミュニケーションの頻度の増加
近年、リモートワークやオンライン学習の普及により、オンラインコミュニケーションの頻度が飛躍的に増加しています。
特に、パンデミックの影響で多くの人々が自宅での生活を余儀なくされ、対面での交流が制限される中、仮想空間でのコミュニケーションが重要な役割を果たすようになりました。この流れは、メタバースの成長を促進する要因となっています。
メタバースでは、ユーザーがアバターを通じて他者とリアルタイムで交流できるため、物理的な距離を超えた新たなコミュニケーションの形が生まれています。友人や同僚とのバーチャルな集まり、オンラインイベント、さらにはビジネスミーティングなど、さまざまなシーンでメタバースが活用されています。
NFTをはじめとする関連技術の実用化
メタバースの成長に伴い、NFTをはじめとする関連技術の実用化が進んでいます。
NFTはデジタルアートや音楽、ゲームアイテムなどの所有権をブロックチェーン上で証明する技術であり、これによりクリエイターは新たな収益源を得ることが可能になりました。
特に、アーティストやゲーム開発者にとっては、自身の作品を直接販売できるプラットフォームが増え、ファンとの距離が縮まることが大きな魅力です。
さらに、メタバース内でのデジタル資産の取引が活発化する中、NFTはその中心的な役割を果たしています。ユーザーは仮想空間で自分の所有するデジタルアイテムを展示したり、売買したりすることができ、これが新たな経済圏を形成しています。
メタバース系ベンチャーの事業内容とは
メタバース系のスタートアップは、仮想空間を活用した多様な事業を展開しています。具体的には、仮想空間の開発・提供、デジタルコンテンツの制作・販売、バーチャルイベントの開催などが挙げられます。
仮想空間の開発・提供
メタバース系スタートアップの中でも特に注目されるのが、仮想空間の開発・提供を行う企業です。これらの企業は、ユーザーが自由にアクセスできる3D空間を構築し、さまざまな体験を提供しています。
例えば、ゲームやソーシャルプラットフォーム、教育環境など、多岐にわたる用途に対応した仮想空間が開発されています。
これにより、ユーザーは物理的な制約を超えて、世界中の人々とつながることが可能になります。また、企業は自社のブランドや商品を仮想空間内で展開することで、新たなマーケティング手法を模索しています。
デジタルコンテンツの制作・販売
メタバースの成長に伴い、デジタルコンテンツの制作・販売が重要なビジネスモデルとして注目されています。アートや音楽、ゲーム、教育コンテンツなど、多岐にわたるデジタル商品が仮想空間で取引されるようになりました。
特に、NFT技術の普及により、デジタルアートやコレクションアイテムの所有権が明確化され、クリエイターにとって新たな収益源が生まれています。
また、企業は自社のブランドや商品をメタバース内で展開することで、ユーザーとのインタラクションを深め、マーケティング戦略を強化しています。
バーチャルイベントの開催
メタバースの普及に伴い、バーチャルイベントの開催が新たなビジネスモデルとして注目を集めています。企業や団体は、物理的な制約を超えて、世界中の参加者を集めることができるため、コスト削減やアクセスの向上が期待できます。
例えば、オンラインカンファレンスや展示会、音楽フェスティバルなど、多様な形式のイベントが実施されており、参加者は自宅にいながらリアルな体験を楽しむことができます。
さらに、バーチャルイベントでは、インタラクティブな要素を取り入れることが可能です。参加者同士のコミュニケーションや、リアルタイムでのフィードバックが得られるため、より深いエンゲージメントを生むことができます。
バーチャルオフィスや研修環境の構築
メタバースの進化に伴い、企業はバーチャルオフィスや研修環境の構築に注力しています。
従来の物理的なオフィスに代わり、仮想空間での業務が可能になることで、リモートワークの効率が大幅に向上します。
特に、社員同士のコミュニケーションが円滑になり、チームビルディングやコラボレーションが促進される点が大きなメリットです。
また、研修環境においても、バーチャル空間を活用することで、実践的なトレーニングやシミュレーションが行いやすくなります。これにより、参加者はリアルな体験を通じてスキルを向上させることができ、企業にとっても人材育成の効率化が図れます。
メタバース事業を行う日本のベンチャー企業10選
近年、日本においてもメタバース関連のベンチャー企業が続々と登場しています。このセクションでは、特に注目すべき10社を紹介し、それぞれの事業内容や特徴について詳しく解説します。
REALITY株式会社
REALITY株式会社は、スマートフォン向けメタバースアプリ「REALITY」を提供しています。このアプリでは、ユーザーがスマートフォン1台でアバターを作成し、顔出し不要でライブ配信やゲーム、コミュニケーションを楽しむことができます。
さらに、法人向けには3D CGを活用したバーチャル空間やイベント制作プラットフォーム「REALITY XR cloud」を提供し、企業のメタバース進出を支援しています。
同社は「なりたい自分で、生きていく。」というビジョンを掲げ、メタバース領域での新たな体験を創出することに注力しています。
参考:REALITY株式会社
ANYCOLOR株式会社
ANYCOLOR株式会社(旧称:いちから株式会社)は、バーチャルライバーグループ「にじさんじ」を運営する企業です。2017年5月に設立され、2018年2月から「にじさんじ」プロジェクトを開始しました。
多様なバーチャルタレントがYouTubeなどで活動し、ライブ配信やイベントを通じてファンと交流しています。同社は、バーチャルタレントのプロデュースやマネジメント、関連グッズの販売など、多角的な事業展開を行っています。
2022年6月には東京証券取引所Growth市場に上場し、業界初の上場企業となりました。ANYCOLORは、メタバースの可能性を広げる重要なプレイヤーとして注目されています。
参考:ANYCOLOR株式会社
カバー株式会社
カバー株式会社は、バーチャルYouTuber(VTuber)グループ「ホロライブプロダクション」を運営する企業です。2016年に設立され、2017年から「ホロライブ」プロジェクトを開始しました。
所属タレントは3Dモデルを用いてライブ配信やコンサートを行い、国内外で高い人気を誇ります。同社は、VTuberのプロデュースやマネジメント、関連グッズの企画・販売、さらには音楽制作やライブイベントの開催など、多岐にわたる事業を展開しています。
特に、ホロライブのタレントたちは、ファンとのインタラクションを重視し、独自のコンテンツを提供することで、メタバース内での新たなエンターテインメント体験を創出しています。
参考:カバー株式会社
株式会社Brave group
株式会社Brave groupは、バーチャルアーティストのプロデュースやメタバース関連事業を展開する企業です。
2017年に設立され、次世代Virtual esportsプロジェクト「ぶいすぽっ!」やバーチャルミュージックレーベル「RIOT MUSIC」などを運営しています。
同社は、IP Production、IP Platform、IP Solution、Incubationの4つの事業領域で活動しており、国内外で複数のグループ会社を持ち、グローバルに事業を展開しています。
2025年1月には、グループ会社である株式会社ENILISがバーチャルタレントプロダクションの株式会社brossomと経営統合し、VLiver事業の強化を図っています。
クラスター株式会社
クラスター株式会社は、バーチャルSNS「cluster」を開発・運営している企業です。ユーザーはVRデバイスやPC、スマートフォンを通じてバーチャル空間にアクセスし、イベントやミーティングに参加することができます。
2018年には、世界初の「家から参加できる商業VR音楽ライブ」を提供し、バーチャルイベントの新たな可能性を切り開きました。
また、企業や自治体とのコラボレーションにも積極的で、バーチャル渋谷などのプロジェクトを手掛けるなど、メタバースの発展に寄与しています。クラスターは、ユーザー同士の新しいコミュニケーションの場を提供し、メタバースの普及に貢献しています。
参考:クラスター株式会社
株式会社HIKKY
株式会社HIKKYは、バーチャルマーケット「バーチャルマーケット(Vket)」を主催している企業です。Vketは、VR空間上で開催される世界最大級のバーチャルイベントであり、企業や個人が3Dアイテムやサービスを展示・販売する場を提供しています。
HIKKYは、メタバースプラットフォームの開発やコンサルティングサービスも行っており、企業のメタバース参入を支援しています。
特に、Vketは多くの参加者を集め、メタバース内での商業活動の可能性を広げる重要なイベントとなっています。HIKKYは、今後もメタバースの発展に寄与することが期待されています。
参考:株式会社HIKKY
株式会社STYLY
株式会社STYLYは、デジタルとフィジカルを繋ぐ空間レイヤープラットフォーム「STYLY」を提供する会社です。
「人類の超能力を解放する」ことをミッションに掲げ、XRを主軸としたテクノロジーにより、ヒトや企業の創造する力、クリエイティビティを解放し、新たな文化・産業の創出によって人類の進化に貢献することを目指しています。
特に、リアルタイムでのインタラクションを重視した機能を持ち、ビジネスやエンターテインメントの分野での活用が期待されています。今後の成長が注目される企業の一つです。
参考:株式会社STYLY
株式会社メタバース総研
株式会社メタバース総研は、メタバースに関する調査・研究を行い、企業向けにコンサルティングサービスを提供しています。同社は、メタバース関連の最新情報や市場動向を分析し、ビジネス展開の支援を行っています。
特に、企業がメタバースを活用する際の戦略立案や実行支援に力を入れており、クライアントのニーズに応じたカスタマイズされたサービスを提供しています。
メタバースの急速な進化に伴い、同社の役割はますます重要になっており、企業が新たなビジネスチャンスを見出す手助けをしています。
参考:株式会社メタバース総研
株式会社oVice
株式会社oViceは、バーチャルオフィスプラットフォーム「oVice」を提供しています。このプラットフォームでは、ユーザーがオンライン上の仮想オフィス空間にアクセスし、アバターを通じて他のメンバーとリアルタイムでコミュニケーションを取ることができます。
リモートワークが普及する中、oViceは新しい働き方を支援するツールとして注目を集めています。
特に、チームメンバー同士の距離感を縮めることができるため、業務の効率化やコミュニケーションの活性化に寄与しています。
参考:株式会社oVice
プレティア・テクノロジーズ株式会社
プレティア・テクノロジーズ株式会社は、2014年7月に設立された日本のスタートアップ企業で、AR技術を活用したサービスの企画・開発・運営を行っています。
主な事業として、ARクラウドプラットフォーム「Pretia」の研究開発を行っており、このプラットフォームはUnityと組み合わせることで、ユーザーが独自のAR体験を簡単かつ迅速に開発できる環境を提供しています。
また、産業向けのARビデオ通話サービス「メタアシスト」も提供しており、遠隔地からの現場サポートを支援することで、生産性の向上や新人教育の効率化に貢献しています。
まとめ
メタバース関連のスタートアップ企業は、急速に成長を遂げており、その背景には大手企業の参入や市場の拡大があります。
仮想空間での新たなビジネスチャンスが広がる中、これらの企業は多様なサービスを提供し、私たちの生活や働き方に変革をもたらしています。
今後もメタバースの進化が期待される中、注目すべき企業や技術の動向を追い続けることが重要です。