執行役員の年収の相場について実際よくわからないという方も多いのではないでしょうか。大企業や中小企業といった企業の規模によって相場は異なります。
そこで今回は、企業規模別の執行役員の年収相場や執行役員と他の役職の違い、実際執行役員になるための方法について解説します。本記事をお読みいただくことで、執行役員の年収の決め方についても理解を深めることができるので、是非とも最後までお読みください。
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【企業規模別】執行役員の年収の相場
大企業の場合
大企業における執行役員の年収は、一般的に1,500万円から3,000万円以上とされています。労政時報による調査「2023年役員報酬・賞与等の最新実態」によれば、従業員1,000人以上の企業における執行役員の平均年収は約1,911万円となっています。この幅広い水準は、企業の規模や業績、さらには執行役員が担当する部門の重要性などによって大きく左右されます。例えば、社長直下で戦略的なプロジェクトを推進するポジションであれば、より高い報酬が期待できるでしょう。
大企業の場合、執行役員の年収は業績連動型の報酬体系を取り入れることが多く、会社全体や個人の成果がボーナスやインセンティブに反映される仕組みが一般的です。また、専務執行役員や常務執行役員など役位がつく場合は、さらに報酬が上がる傾向にあります。専務執行役員で約3,000万円、常務執行役員で約2,300万円が相場とされています。
中小企業の場合
中小企業における執行役員の年収相場は、大企業と比較すると控えめな水準となります。国税庁の令和4年分「民間給与実態統計調査」によると、資本金2,000万円未満の企業における役員の平均年収は約647万円(男性738万円、女性425万円)、資本金2,000万以上の企業では平均952万(男性1,038万円、女性661万円)、資本金5,000万円以上の企業では平均1,232万円(男性1,316万、女性726万円)となっています。
中小企業では執行役員制度そのものを導入していないケースも多く、導入している場合でも企業の収益規模や業績によって報酬水準は大きく変動します。一方で、中小企業の執行役員は経営陣との距離が近く、経営判断に直接関わる機会が多いため、キャリア形成の観点では貴重な経験を積める環境といえるでしょう。
スタートアップ・ベンチャーの場合
スタートアップ企業やベンチャー企業における執行役員の年収は、企業の成長ステージによって大きく異なります。シード期からアーリー期では500万円から800万円程度、ミドル期からレイター期になると1,000万円から1,500万円程度まで上昇することが一般的です。この報酬の上昇は、単純に会社の規模が拡大したからだけではなく、執行役員が担う責任の重さと業務の複雑さが増していることを反映しています。
スタートアップにおける執行役員の最大の特徴は、株式報酬やストックオプションが付与されることが多い点です。年収600万円の執行役員が会社の株式の1%相当のストックオプションを付与された場合、将来の企業価値が100億円になれば1億円の資産価値となる可能性があります。実際に2018年にIPOしたメルカリでは、35名以上の従業員・役員がストックオプションによって6億円以上の資産を得たことが話題になりました。
スタートアップにおける執行役員は、戦略の実行力や柔軟性が求められ、成果を挙げることで報酬が大きく変動する場合もあります。また、創業メンバーの一部として事業に深く関わるケースが多いため、将来的な企業価値の成長によるリターンも期待される点が他の規模の企業とは異なります。
スタートアップでは報酬の一部として非金銭的な福利厚生、働き方の柔軟性、役職名による市場価値の向上なども重要なポイントとなります。自らの能力を最大限に発揮し企業成長に貢献することで、金銭的報酬と株式報酬の両面から大きなリターンを得るチャンスが多い環境といえるでしょう。
執行役員と他の役職の違い
執行役員と取締役の違い
執行役員と取締役はどちらも企業の運営において重要な役割を担いますが、その役割には大きな違いがあります。取締役は、経営の方針や戦略を決定し、株主の利益を代表する役割を果たします。一方で、執行役員は、取締役会で決定された方針や戦略を実行に移す立場であり、日常業務の執行や部門のマネジメントを担当します。
具体的には、取締役は株主総会で選任され、会社法上の法的な位置付けを持つ役職です。一方、執行役員は会社法に明確な規定がなく、各企業の判断で設置されるポジションです。したがって、執行役員は経営の実務的な側面に重点を置く役割であり、現場の意見を経営層に反映させる橋渡し的な役割を担う傾向があります。
また、取締役の報酬は役員報酬として扱われ損金算入に制限がある一方、執行役員(雇用型の場合)の報酬は給与として扱われ全額経費計上が可能という税務上の違いもあります。
執行役員と執行役の違い
執行役員と執行役は、その名称の類似性から混同されることがありますが、明らかな違いがあります。執行役は会社法に基づいて設置される役職で、主に指名委員会等設置会社において取締役会が選任する役職です。一方、執行役員は法的な位置付けがなく、企業ごとに設置や役割の範囲が異なります。
執行役は会社法上の機関として位置づけられ、指名委員会等設置会社では取締役会の権限の一部(経営方針の策定や株主総会議案を除く)を委任され、業務執行の決定と実行の両方を担います。執行役は登記が必要で、法的責任も重大です。
一方、執行役員はより柔軟な位置付けで活用されることが多いです。具体的には、執行役員は経営者層に近いポジションとして部長職以上の役割を果たしつつ、日常業務の運営や管理を行うことが一般的です。執行役と比較して、執行役員の雇用形態も企業によって多様であり、雇用契約が適用されることが多い点も特徴的です。
なお、執行役員の年収にもこの役割の違いが反映されることが一般的です。例えば、執行役員の年収は企業規模や役位によって幅がありますが、特に大企業やベンチャー企業の場合、その実績や責任範囲に基づいて大きな違いが生まれることがあります。
執行役員になるためには
執行役員になるためには、企業内で地道に昇進を重ねた後に選ばれるパターンや、昇進試験を受ける方法、さらには他社の執行役員候補として転職する方法など、さまざまなルートがあります。いずれの方法でも、執行役員として求められる能力や実績、経営的視点などを備えていることが重要です。また、執行役員になることで「執行役員の年収」を得られる可能性が高まり、キャリア形成のうえで大きな一歩となります。
企業内で昇進を重ねていく
多くの場合、執行役員は内部昇進によって選ばれます。これは企業文化やビジョンを深く理解し、業績を積み重ねた社員が任命されるケースです。管理職や部長職を経て、さらにリーダーシップと経営的視点が認められることで執行役員の候補となれる可能性が高まります。特に大企業では、実績だけでなく、他の管理職や役員とどれだけ協力して成果を上げられるかも重要な要素となります。
昇進試験を積極的に受ける
一部の企業では、執行役員への昇進に際して昇進試験や選定プロセスが行われる場合があります。これには、現場での成果やリーダーシップ能力の評価に加え、経営の視点を問う試験や面接が含まれることが多いです。昇進試験を受けるためには、日頃から業績を上げることはもちろん、経営やマネジメントの基礎を学び、準備を整えておくことが求められます。この過程で自分のポジションを明確に把握し、目指す目標に向かって努力する姿勢が鍵となります。
執行役員候補の求人に応募して転職する
最近では、他社への転職によって執行役員になる人も増えています。特にスタートアップ企業やベンチャー企業では、即戦力として外部から優れた人材を採用する傾向があります。執行役員としての経験がない場合でも、実績や専門知識、独自のスキルが評価されることで執行役員候補として採用されることも珍しくありません。転職市場で高い評価を得るためには、自身のキャリアやスキルを磨くだけでなく、エグゼクティブ求人に対応している転職エージェントを活用することが有効です。
執行役員の年収の決め方
一般の従業員と同様の決め方が基本
執行役員の年収の決め方は、基本的には一般の従業員と同様の給与体系がベースになっています(雇用型執行役員の場合)。企業の給与規定や報酬ポリシーに基づき、職務内容や責任の重さが評価され、それに応じた年収が設定されることが一般的です。しかし、執行役員は経営に近いポジションであるため、一般従業員よりも基本給が高めに設定されるケースが多く見られます。
また、執行役員の年収は企業の規模により異なります。大企業では非常に高い報酬が設定されることがある一方で、中小企業やスタートアップではその規模や業績に応じて相場が異なります。そのため、企業によって執行役員の年収には一定の幅があります。
なお、委任型執行役員の場合は、一般従業員とは異なり委任契約に基づく報酬となるため、給与ではなく役員報酬に準じた取り扱いとなることがあります。
業績や個人・チームの成績によって変動
執行役員の年収は、企業全体の業績や個人およびチームのパフォーマンスに直接的な影響を受けます。多くの企業では、執行役員に対して業績連動型の報酬制度を導入しており、目標の達成度や成果次第で報酬が変動する仕組みになっています。
特にスタートアップやベンチャー企業の執行役員では、株式報酬やストックオプション、インセンティブ制度が採用される場合が多く、事業の成功に大きく報酬が左右される点が他の役職と異なります。一方で、大企業では固定報酬と変動報酬のバランスが取られていることが一般的です。
さらに、職務範囲や責任の重さ、担当するプロジェクトの重要性が加味されるため、同じ企業でも執行役員間で年収に差が生じることがあります。総じて、執行役員の年収は、個々の成果と企業全体の成功が密接に関係していると言えるでしょう。
執行役員の年収に関するよくある質問
雇用保険に入れるのか?
執行役員になると雇用保険に加入できるかどうかは、企業との契約形態に大きく依存します。一般的には、執行役員が「雇用型(従業員型)」の場合は、労働者としての性質を持つため雇用保険の対象となります。執行役員は会社法上の役員ではなく、法律上は「従業員」としての位置づけとなるため、雇用型であれば他の従業員と同様に雇用保険に加入することができます。
一方、「委任型」としての執行役員は、会社と委任契約を結んでおり雇用契約を持たないため、雇用保険には加入できないケースが多いです。したがって、執行役員としての年収を検討する際には、この点も考慮する必要があります。雇用保険に加入できるかどうかは企業側と事前に確認しておくことをお勧めします。
退職金はもらえるのか?
執行役員が退職金を受け取れるかどうかも、企業との契約形態によって異なります。特に執行役員としての雇用形態が「雇用型」の場合には、従業員時代と同様に退職金制度が適用されるケースが多いです。雇用型執行役員の場合は、執行役員に昇格したタイミングでは退職金は支払われず、定年に到達したときや退職時に退職金が支給されることになります。
一方、「委任型」の場合は、雇用関係がないため退職金が支給されないことが一般的です。ただし、執行役員就任時に従業員としての雇用期間中に積み立てた退職金を清算支給するケースや、執行役員としての年収や報酬の一部に退職金相当額を含む取り決めがなされることもあります。契約内容をよく確認し、必要であれば事前に交渉することも重要です。
確定申告は必要なのか?
執行役員は、契約形態によって確定申告が必要となる場合があります。
雇用型執行役員の場合、一般の従業員と同様に給与所得として扱われ、会社が年末調整で所得税額を確定し納税を済ませるため、通常は確定申告の必要はありません。ただし、年収が2,000万円を超える場合や、副収入として20万円を超える所得がある場合、2ヶ所以上から役員報酬を受け取っている場合などは確定申告が必要となります。
一方、企業との契約形態が「委任型」とされ、従業員としてではなく個人事業主のような扱いを受けている場合には、年収や報酬が源泉徴収されていない可能性があります。この場合、確定申告により適切な税金を納税する必要があります。雇用契約や報酬体系によって必要性が異なるため、その内容を確認しておくことが重要です。また、専門家に相談することで適切な申告を行う準備がしやすくなるでしょう。


