Professional Studio/Interactive dialogue Consultant 小此木 春香
HR領域で10年以上のキャリアを誇ると同時に、スタートアップ業界への支援経験も豊富に有するコンサルタントの小此木さん。Professional Studioのエージェントチームを牽引するコアメンバーのひとりとして縦横無尽に活躍中です。今回の“Interactive dialogue”は小此木さんにマイクを向け、スタートアップに向けた採用支援の意義や醍醐味、Professional Studioで描くこれからのビジョンについてお話をうかがいました。
大学のキャリアアドバイザーから得られた“気づき”
ー小此木さんは人材領域のキャリア10年以上とのことですが…
キャリアのスタートは新卒で入社したSES企業での営業職でした。ここで企業に向けての案件獲得と、エンジニアのキャリアアドバイザーとしての仕事をひと通り身につけました。その後、3社目の人材紹介会社から本格的にHR領域に踏み込むことになります。トータルで12年ほどになりますね。
ー人材にこだわる理由はなんでしょうか?はじめから人材業界を志望していたのでしょうか?
実は最初から人材業界を志望していたわけではなかったんです。大学が都心から離れた女子大で、就職活動のときにもあまり情報が入ってくるような環境ではありませんでした。その大学では特定の業界を就職先として選ぶ人が多くて。私も例に漏れず、周りに合わせたキャリア選択をしていました。職種としても、事務職を中心に志望していたのですが、なぜだかなかなか就活が上手くいかなかったんですね。
そんなある日、就職課のキャリアアドバイザーさんが私のエントリーシートを見て「あなたは事務職より営業職の適性が高いよ」と言ってくれたんです。確かに大学時代に毎日励んでいたアルバイトでは売上貢献や成果に喜びを見出していて、そのことを書いていたんです。自己分析をすれば簡単に気づくことだと思われるかもしれません。ただ当時の私は限られた選択肢のなかから、なんとか仕事を選ぼうとしていたので、キャリアアドバイザーさんからアドバイスいただいたおかげで、はじめて自分の特性に気づくことができました。
ーそれで志望を営業に切り替えて就活を再開したと
そうなんです。すると面白いように上手くいくようになり、いくつかの内定をいただくまでに。その中から若手でも裁量が得られそうな点に惹かれて選んだのが最初の会社でした。そのため、はじめから人材業界を目指して入ってきたわけではないのですが、いまとなってはこの人材業での仕事は自分にとって天職だと思っているので、私に新たな選択肢を提示いただいたそのアドバイザーの方にはとても感謝をしています。あの一言がなければ人生変わっていましたね。
ー3社目から人材紹介業ですね
SESの仕事にも慣れ、知り合いに誘われて転職した2社目でもやりがいは感じていたのですが…業務委託の採用支援という仕事の特性上、要件が固まった状態でお客様から依頼が出されることがほとんどで、次第に自分の介在価値を感じられなくなってしまいました。
ただ、人に向き合う仕事そのものは大好きでしたし、いろいろな会社やサービスを知ることができる点も気に入っていました。そこで、企業の採用課題の解決やキャリア支援により深く入り込むことのできる人材紹介事業へキャリアをスライドさせれば私の抱えているモヤモヤも解消されるのではないかと思ったんです。
3社目は3年ほど在籍していましたが、非常にユニークな会社でした。新卒の紹介事業だけでなく若手社会人向けの教育事業も手掛けていて、人と人をつなぐことへのやりがいを実感できました。また当時は起業家や事業家を目指す優秀な若手と接点を持つ機会も多くて、それも私自身のライフミッションの確立に結びついていますね。
ーとてもいい経験を積まれたようですが、4社目へはどういう経緯で?
3社目の人材紹介事業において、一部スタートアップ企業の担当を受け持つようになり、その支援にやりがいを感じ始めていて、より本格的に取り組もうとスタートアップ・ベンチャー企業に特化したエージェントに転職しました。
やってみてわかったのは、スタートアップのキャリア支援は介在価値がものすごく大きいということです。スタートアップはどうしても知名度が高くはないので、採用に困っている企業が多くいらっしゃいます。また当時はいまほど採用広報の考え方も浸透していませんでした。そもそも会社のことを知られていないので、求職者に適切に情報が届いているかどうかわからないという状況です。
知られていないだけで、世の中にはこんなにもたくさん素晴らしい企業がある。いまは小さいけど、将来的にとてつもない可能性を秘めた企業がある。そのことを人事だけではリーチしきれない求職者に伝えていくのが私の仕事なんだ、という使命感に燃えました(笑)。
実際にこのときの思いはいまでも強く胸に刻まれています。4社目では企業と求職者の両面を担当していましたが、この頃から営業というよりコンサルティングとしての役割が強くなってきたと感じています。まずはクライアントの経営課題や事業課題からヒアリングして、マーケットでの立ち位置も踏まえた上で最適な人物像を仮説構築し、提案するところから手掛けるようになっていきましたから。
キャリアの伴走者であり、ベンチャーの特命人事でもある
ーそんな中、いよいよProfessional Studioへのジョインです
仕事は日々充実していましたし、特に転職などは考えていなかったのですが…肌感としてマーケットの変化の激しさが年々増してきているな、と。加えてコロナ禍をきっかけに優秀な人材と接点を持つこと自体が困難な市況になりました。人材紹介という枠組みだけでは限界がある、と感じるようになっていったのです。
そこでキャリアに関する情報提供のコミュニティ構築やベンチャーキャピタルとの連携など、新しい取り組みのための情報収集をはじめる中で出会ったのがProfessional Studioでした。スタートアップ支援の領域で最も評判が良い会社であると耳にしたんです。
Professional Studio主催のイベントやセミナーなどに参加をして、少しずつ接点を増やしていきました。すると考え方そのものに共感できるだけでなく、私がやりたいと思っていたことが全て叶う環境であることがわかってきた。立ち上げ間もない会社にして、すでに人材紹介の枠組みを超越していることに驚きました。
ーそこから自然な流れで入社が決まっていったわけですね
コミュニケーションを深めるにつれ、スタートアップ支援に対する姿勢にも共通するものを感じました。代表の市川さんは社会の課題をマクロに捉えた上で、いまの日本で中小企業やスタートアップに人材が回遊しない要因と背景を解像度高く分析されていて。だからこそ自分たちが事業を行う意義があるんだ、と語っていたのが印象的でした。
ー現在の仕事内容について教えてください
基本的には前職同様、企業と求職者の両方に向き合っています。企業との商談から求職者さんとの新規面談、転職活動中の方の後方支援、さらに最近ではスタートアップ人事や求職者さんのコミュニティづくりにも力を注いでいます。
特に求職者さんに対しては中長期的なキャリアの伴走者、という立ち位置を大事にしています。面談においても私が大学のキャリアアドバイザーさんからいただいたように、必ず何かひとつは気づきを持ってもらえる時間にしよう、と心がけています。
だからこそいま転職すべきではないと思ったら、正直にアドバイスすることもあります。スタートアップのトレンドやマーケット情報などを提供しつつ、求職者自身が気づいていない志向性を深堀りすることで新たな発見や学びを得てもらう…そういう時間の使い方を大切にしています。
ビジネスの文脈からは外れているように見えるかもしれません。ただ、結果的にこのスタイルで求職者さんに向き合っていると決まっても決まらなくても知り合いの方を紹介してくれたり、数年後に再び声をかけてくださったりするんです。また転職するときは小此木さんに相談します、って。
ー企業と求職者、どちらに向き合うのが得意ですか?
どちらも楽しいですし、好きだからこそ両面のコンサルティングができているんじゃないかと思っています。企業の場合、対象がスタートアップですから頼りにされる場面がかなり多いですね。認知度の向上や優秀人材との接点づくりに苦戦されている会社が多いので、他社での事例などを踏まえて具体的な施策を提案します。
その企業の人事の目線そのもので取り組むので、クライアントからは小此木さんはウチの会社の特命人事だね、と言われることも(笑)。私自身もやるからにはその企業のことを誰よりも深く理解していたいので、うれしいひと言だと感じます。
一方で求職者に向き合う楽しさもいろいろありますが…やはりキャリアの伴走者として転職支援で終わることなく、定期的に接点を持ったりフォローを絶やさないところでしょうか。特に「小此木さんから紹介されなかったら知ることのなかった企業でした」という声をいただくと、介在価値を強く感じられます。
挑戦者に寄り添うHR支援を
ー注力されているコミュニティづくりについてもお聞かせ願えますか?
いくつか種類があるのですが、ひとつ例をあげてご紹介するとスタートアップの人事に向けたイベントを定期的に開催しています。主に情報交換の場としてご活用いただいているのですが、リアルタイムで成長著しいスタートアップの人事が多数集まるイベントというものもなかなかないのでは、と自負しています。
ここでキャッチアップできる情報や発信している内容は業務において非常に参考になるという声も多く、一定の価値は提供できているのではないかと思います。まさしく私が前職でやりたかった人材紹介の枠組みを超えた支援を実現できるのも、Professional Studioだからこそだと思います。
ー小此木さんがここまでHR領域に打ち込む理由はなんでしょうか?
繰り返しになりますが、なんといっても原体験、つまり大学の就活時に“気づき”を与えられたことが大きいですね。ただ、最近感じるのは仕事を通じてさまざまな人や企業に出会えること、それによって自分の知らない世界を垣間見ることができる点に惹かれている面も少なからずあるな、と。
スタートアップの方々と話をしていると世の中にはこんな事業があるとか、こんな熱い思いを持って社会課題に挑戦する人たちがいるとか、ふだんなかなか接点を持つことのできない知識や情報に触れられるんですよね。だからやればやるほど楽しいというか、私にとっては飽きがこない仕事なんです。
ー今後Professional Studioが向かっていく方向を教えてください
中小企業やスタートアップを支援する、という会社全体の方向性はブレることなく持ち続けています。ただし手法についてはいろいろな取り組みが進行中で、実際に現時点でも地方向けメディアを展開したり、また人材領域のプロダクト開発も進んでいて、いずれはHR領域のあらゆるフェーズでサービスを提供できる総合HRカンパニーになろうと目論んでいます。
ー新しい仲間もどんどん増やさないとですね
そうですね、ただ、いたずらに数を増やすというよりは本当にHRやスタートアップのことが好きな人にジョインしてほしいなと思っています。特にスタートアップは変化が激しいので、いろんな企業のトレンドやマーケットの情報を敏感にキャッチアップする必要があります。だからこそ、業界やビジネスモデル含めてスタートアップやベンチャーに興味関心があるかどうかが大事になってくるんですよね。
ーやはり「好き」だと「楽しい」につながりますもんね
私のライフミッションは「挑戦者を支援する」なんですが、それをProfessional Studioのビジョンに重ねあわせて実現できることにやりがいを感じています。スタートアップも、求職者も、どちらも挑戦者です。その架け橋として存分に介在価値を提供できる。しかもコミュニティづくりやイベント企画も任せてもらえている。手をあげれば大きなミッションも任せてもらえる環境なので、新しく仲間になる方も好きな気持ちに蓋をすることなく純粋に仕事を楽しんでほしいと思います。
ー本日はありがとうございました!
■PROFILE
小此木 春香 Consultant
大学卒業後、フリーランスエンジニアの支援に特化をしたベンチャー企業を2社経験し、人材紹介会社に入社。中途の人材紹介事業の立ち上げ、若手向けのコミュニティ運営に携わる。その後、スタートアップ・ベンチャー企業の紹介支援に特化した、株式会社プロコミットに参画。RA/CA両面のコンサルタントとして、経営幹部候補の紹介支援に従事。2023年12月、弊社に参画。